米国株はS&P500指数やNYダウ、NASDAQ等色々な指標がありますが、そのほかにもインデックスというものは様々に存在します。
そしてS&P500指数やNYダウの前に実は見るべき先行指標とマーケットでは言われているものがあります。
ここではその先行指標について解説します。
株式市場の先行指数とは
最初に株式市場の先行指数について紹介します。
先行指数とはS&P500指数やNYダウよりも前に経済を反映して動いている指数を意味しています。
当然その指標が下落したからといって、確実にNYダウやS&P500指数が下落するというわけではありませんが、チェックしておいて損はないインデックスと言えるでしょう。
先行指標は今後の先行きを占う上ではとても大切なものになります。
次にどのようなインデックスが先行指数となるのか解説します。
先行指数の種類
輸送株指数
アメリカの輸送株指数はNYダウやS&P500指数の先行指標として注目されることがあります。
この理由としては輸送株はその言葉の通り「物流を通して利益を出している企業」のインデックスです。
景気が良好な場合は当然色々な物が製造、販売され、世界各国に流通します。
そして物の供給量が減少し、さらに生産量を拡大させる過程で、原材料価格が上昇し、インフレに繋がります。
その過程において物流企業の利益も輸送代金の上昇から利益につながり、輸送株指数も上昇します。
しかし、景気が悪化すると物の動きというのは停滞する方向になります。
そうすると当然物流で利益を出している株価は下落する方向になります。
そして物の動きが最初に景気に現れることが多く、投資家はそのような動きに敏感なため、輸送株が先に下落しやすいということになります。
ラッセル2000
次に紹介するのはラッセル2000指数です。
これはアメリカのラッセル3000種指数のうちの小型株2000銘柄で構成されている指数です。
つまりアメリカの小型株のインデックスと理解してください。
このラッセル2000指数は小型株であり、景気に敏感に反応します。
つまり大型株が下落する前にラッセル2000指数が反応するということがよく発生するということです。
シンプルに大型株に関してはある程度資本力があり、景気の悪化にも耐え切れることから株価の反応は鈍くなりますが、小型株は成長与力がある反面、景気の悪化にも敏感に反応します。
そのため、小型株は大型株の指数でもあるNYダウやS&P500指数よりも先に景気に反応するということです。
ハイイールド債券利回り
次は少し聞き慣れないかもしれませんが、ハイイールド債券の利回りも先行指標になりやすいと言われています。
ハイイールド債とは信用力の低い企業が発行する債券で、利回りが高いことがポイントです。
当たり前の話ですが、利回りが高い=リスクも高いということであり、デフォルトリスクというのは利回りの低い大型株と比較しても相当高くなります。
この債券の利回りというのは、クレジットリスクというもので計算されており、格付け会社が定めている格付けによって評価が異なります。
ハイイールド債は格付けがBB(ダブルビー)以下の評価をされている債券のことを意味しています。
つまり景気が悪化する場合は信用力の低い企業から当然倒産することになり、言い換えると景気の悪化に敏感に反応しやすいということになります。
そのためNYダウはS&P500指数の先行指標になりやすいということです。
実際の指数の動きの比較
次に実際の指数の動きを上記のS&P500指数、ラッセル2000指数、NYダウ輸送株指数、isharesハイイールド債券企業のインデックスで確認しましょう。

(青:S&P500指数 オレンジ:NYダウ輸送株指数 水色:ラッセル2000指数 黄:isharesハイイールド債券企業のインデックス)
2021年のそれぞれの動きをみると、顕著に先行指標であるということが把握できる動きとなっています。
青色のS&P500指数は上昇基調が継続している中、ハイイールド債のインデックスは上昇が2021年初旬から止まっており、NYダウ輸送株指数とラッセル2000指数もS&P500指数の上昇につれて上昇していたものの、2021年下旬にはS&P500指数が上昇する中、NYダウ輸送株指数とラッセル2000指数の上昇は止まっていることがわかります。
そしてその後ラッセル2000指数が下落、isharesハイイールド債券企業のインデックスの下落、NYダウ輸送株指数も先に下落がスタートし、その後S&P500指数が下落し始めています。
このようにヒントがいくつも隠されているのが先行指標をチェックするメリットです。
まとめ
米国株でもインデックス投資というのは、初心者でも見るポイントがわかりやすく積立等行うにはとても使いやすいものです。
また米国株の今後を予測する上ではとても重宝できる材料を説明しているため、理解して投資に役立ててもらえればと思います。